植物工場での薬用植物生産

摘要

アジア諸国や欧米における薬用植物の需要は、 近年、漢方生薬に限らず、医薬品、サブリメント、 機能性食品への利用など、年々増加を続けている。 しかし、この世界的な薬用植物の需要増加に伴い、 薬用植物の主要生産国では、野生品の乱獲による 薬用植物の資源枯渴、砂漠化の拡大などが問題と なっている。特に薬用植物の主要な生産国である 中国では、収穫や調整に必要な人件費の高騰、高 齢化や都市化による生産者不足などが深刻化し、 輸出制限などを行っている。このため日本を含む 薬用植物輸入国では、カンゾゥをはじめとする多 くの薬用植物の供給が十分でない状態が続レゝている（美、2008)。さらに、輸入した薬用植物の残 留農薬が問題になったことを受け、近年、薬用植 物やその苗を温室や人工光型工場などで生産し、 安全で高品質な薬用植物を生産するための技術開 発に期待が寄せられている（厚生労働省、2013)。