コメの品質，食味向上のための窒素管理技術〔3〕 －イネ種子タンパク質の合成、集積と米粒内分布に関する分子機構－

摘要

イネ種子，すなわち米が含むタンパク質は，通常精白米の重量当たり5～7％を占める．このタンパク質の量と質は，米の食味，日本酒を含む米加工食品の品質に大きな影響を与える．当研究室におけるこれまでの研究により，米に含まれる貯蔵タンパク質は，胚乳細胞内で合成された後，2種類のプロテインボディ（PB－Ⅰ，PB－Ⅱ）中に濃縮されることが判明した．また，主要貯蔵タンパク質であるプロラミンがPB－Ⅰへ，グルテリンが，PB－Ⅱに特異的に集積する際に，それぞれのポリペプチド配列が重要な役割を担う事も明らかになった（Masumuraら1988，Takahashiら2004）．遺伝子構造が解明された貯蔵タンパク質については，最新の遺伝子工学的手法を用いてその含量を人為的に制御することが可能になりつつある．