ヮサビの持続的利用に向けたリソース上の問題点と活動事例

摘要

ヮサビは国内総生産量，生産高ともに年々減少しており，主要2県（長野県，静岡県）以外の落ち込 みは顕著である（山根2010b).近年高校生に広が るヮサビ離れの傾向や（山根ら2018),動物による 食害など（山根2010b)，ヮサビをとりまく様々な 環境が変化するなかで，リソース上の問題が浮き彫 りになってきた（山根2010b,2015a).このままで は，ヮサビ生産に深刻な打撃を与えかねな!、だけで なく，和食文化の重要な構成要素としての地位が危 ぶまれる.本稿では，ヮサビの持続的な利用のため に，なぜリソースを保全すべきなのかについて述べ るとともに，各地域で実践されている保全活動例を 紹介する.さらに，近年世界から注目されるヮサビ の伝統的栽培が，『環境保全型農業のモデル』とし て，日本の農業に資する可能性について述べる.