住民の関わり方、認識に着目した林地の共用構造のモデルに関する研究

摘要

農村景観を形成する林地は，近年様々な要因によって，減少，荒廃しつつある。主な要因としては，管理当事者（林地所有者）に依存する管理労働力の不足，相続税負担等が挙げられる。一方，森林には景観保全，自然に親しむ場の提供などの生活環境保全，自然環境保全などの機能があるといわれている。 池辺らは「所有者に関わらず，その空間の持つ機能を地域住民が享受する」共用化という観点から，このような機能をもつ森林を維持することの必要性を指摘している。 同様に，内山は総有（私有でもあり共有でもある状態）という概念を提示し，不特定多数の森林利用は，規則と共同行動が必要であるとしている。これらの研究は，林地（森林）が地域資源として適正に利用管理されるためには，共用資源として位置づける必要があると指摘している。