社会保障と公共事業による就業誘発効果の計測: 都市部と地方部の比較分析

摘要

財政問題や環境問題を背景として，公共事業のあり方が問い直されつつある。 公共事業関連の予算額は2000年以降，毎年削減され，2004年度の当初予算（7兆8159億円）はピークである2000年の水準に比べ20％近く減少している。 一方，少子高齢化の進行を受けて，国家予算に占める社会保障費は増加の一途を辿り，2003年度の社会給付費（83.4兆円）は，1990年と比較すると，30％近く上昇した。 国や地方自治体の財政運営は，これまでの公共事業型から社会保障型へとシフトしつつある。 このような財政構造の変化は，地域雇用に多かれ少なかれ影響を及ぼすことは言うまでもない。 特に，公共事業への依存度が高い農山村部を多く抱える地方部では，都市部に比べ大きな影響を受けるものと考えられる。