三次元超音波検査による成馬腸骨骨折の画像診断の可能性一骨折モデルの撮像の試み一

摘要

かって国内では競走馬の骨盤構成骨の骨折は、 他に増して厚みのある殿部'大腿部の筋肉、加えて 骨盤腔内の内臓などを透過できる大量の放射線を放出可能な大型X線写真撮影装置(以下、大型X線)により診断されていた。また海外のゥマ臨床では、 骨盤構成骨の骨折診断にコンビユーター断層撮影(Computed Tomography, CT)を応用した報告も ある1'。しかし、大型X線装置は機器本体が高額で 保守管理にも膨大なコストがかかるだけではな く 、大量の放射線による医療被爆の危険性を常に はらhでいる2)。このことから、現在、JRA競走馬診 療所では大型X線に代えて超音波画像診断装置 (エコー）のBモ一ド画像によって骨折に起因する 骨表面の段差を検出している。ところ力、通常のェ コー検査では骨折線の方向性や骨折による段差の 程度がわかりにくレヽ。さらに、骨片が重なる複骨折 などの症例では、骨折の状況を判別するのは一層 困難となる。これらの問題をクリアし、かつ2D画 像よりも骨折の状況を判断しやすい超音波画像診 断法として三次元超音波画像診断（3Dエコー）が 考えられる。しかしながら、これまでゥマの骨折診 断に3Dエコーを用いた報告はない。そこで、パイ ロットスタディとして、解剖馬（成馬）の腸骨に人 ェ的に骨折モデルを作製し、3Dエコーを用いた撮 像試験を実施した。