競走馬の骨構造評価に対するモルフォロジー処理画像の有用性の検討－骨折予知のためのデジタル画像（CR）診断支援システムの確立を目指して－第1報

摘要

競走馬の肢端骨折、とりわけ第3中辛骨々折や槙骨遠位端骨折の発生機構については多くの報告があり、骨折発症の前駆的要因として骨端部の運動負荷に伴う骨硬化、および限局性骨軟骨壊死巣の関与が推察されている。 近年、英国の Riggs らは前述した股端の限局性病巣内およびその隣在領域の海綿骨の形状を3次元的に処理した結果、骨構築の異常も骨折甲素因であると見なしている。 しかし、このような骨構造の変化を臨床的に捉える手段はない。 一方ヒトにおいては、骨変化を捉える臨床的な指標としては骨塩量（BMD）が一般的に用いられているが、これは必ずしも骨強度とは高い相関性がないことから、最近では骨強度の評価には骨端部のみならず骨幹に至る海綿骨の構造様式がより重要な因子であることが明らかにされてきた。 このような流れを受けて、近年、CR画像を特殊演算処理（モルフォロジー処理）して骨梁構造のみを抽出した画像から骨梁構造解析を行い、臨床的に早期に骨折を予知，予防しようとする流れが見られる（写真1にヒトの大腿骨頭の通常のCR写真を、写真2に写真1のモルフォロジー処理画像を示す）。