環境保全に向けて乳牛の飼養標準をどのように活用するか

摘要

乳牛飼養で問題となる環境負荷物質としては窒素とリンがまず第一に考えられる。 しかし，それ以外にも地球温暖化をもたらす温室効果ガスのひとつであるメタン，重金属の中でも問題となりやすい亜鉛や鋼，土壌還元量が過剰となりやすいカリウムなどが主な環境負荷物質としてあげられよう。 また，乳牛から排泄される糞尿もわが国全体でみると膨大な量に達するので，糞尿量の低減も環境保全の面からは重要な課題である。 これらの環境負荷物質低減は乳牛の栄養管理と密接に関係しているので，飼養標準を上手に活用することにより，排泄量を低減することが可能になる。 そこで，ここでは乳牛の飼養標準を活用することによる環境負荷物質の低減効果を，窒素とリンを中心にして紹介したい。