飼料、栄養から考える乳牛の排泄物対策

摘要

年間発生するとされている産業廃棄物約4億tの中で，家畜糞尿は9，000万t，23％を占めるといわれており，中でも乳牛に由来するものはその約3割，糞2，200万t，尿600万tと畜産の中で最も排出量が多い。 また，酪農産業全体からの糞尿排出量が多いだけでなく，家畜1頭当たりの糞尿排泄量も，飼料摂取量が圧倒的に多い乳牛では他の畜種に比べて非常に多い。 さらに，糞尿の排泄量が多いということは苦情の発生件数も多いということも意味し，例えば平成11年度の悪臭にかかわる苦情発生件数では乳用牛は豚に次いで多く，これも3割を占めている（図-1）。 酪農経営の持続的を発展のためには，このような環境問題は避けて通ることが許されをい，正面から取り寂み，解決を図る，べき課題であり，その対応は，単に，1999年に成立した「家畜排せつ物法」に対処するためだけでなく，「酪農業」が消費者に広く受け入れられていくためにも必須のフアクターであると思われる。