牛ウィルス性下痢ウィルス感染症の多様な病態とその診断: 現在の行政対応と本病における研究状況を含めて

摘要

牛ウイルス性下痢ウイルス感染症（英名Bovine viral diarrhea 牛ウイルス性下痢症：BVD)は国際獣疫事務局 (OIE)の「家畜家禽重要疾病リスト」に記載されている牛 の伝染性疾病のひとつであり，我が国での法的な正式名称 は「牛ウィルス性下痢.粘膜病」である。本病はウィルス 性下痢ウィルス（B VD V)によって引き起こされ，牛では下 痢などの消化器症状，呼吸器病，発育不良，泌乳量低下， 流死産，先天性異常子牛の出生など，多様な症状が認めら れる。我が国では，本病の発生戸数および発生頭数の報告 が，2000年代(戸数、頭数ともに50以下）から全国的に増 加傾向(現在戸数100戸以上，頭数200頭以上）となってい る。