成長促進目的での抗菌剤は本当に必要なのか？

摘要

畜産分野における成長目的の抗菌剤の使用は，第二 次世界大戦後に米国で，発酵残さを飼料とともに給与 した家畜に発育促進が認められたことにはじまる"。その後，抗菌剤は抗菌性発育促進物質(Antimicrobial Growth Promoter ： AGP)とも呼ばれ.家畜の成長促 進および生産コスト削減を目的に飼料に添加され，現 代畜産において欠くことができない物質となっている。 我が国では家畜に給与できる飼料を「飼料の安全性 の確保及び品質の改善に関する法律」（2019年4月1 日施行）で定めており，AGPは飼料添加物としてこの 法律で規定されている。2019年12月現在で合成抗菌 剤5種および抗生物質11種に限定されている（表1)。