スギ雄性不稔（無花粉スギ）の利用と展望

摘要

スギ花粉症患者は，1963年堀口、斎藤らによって栃木県日光市で初めて報告され。それ以前は，日本人にはアレルギー病はほとhどなく，アレルギー性鼻炎は日本に存在しないと考えられていた。 花粉症の原因となるスギ空中花粉総飛散数は，1970年代から急増し，それに伴って花粉症患者も増加しつづけている。 平成12年度の試算では，花粉症による経済的損害は2，860億円に達しており，現在，花粉症患者は人口の15％以上に達することが報賃されている。 スギ花粉症はⅠ型アレル単一に属し，一旦発症すると完治することはなく，原因物質に接触すると必ず発症する。 そのため花粉症になった患者は，一生その苦痛を背負って行かなければならない。 このような背景から，スギ林からの花粉飛散対策が社会的に強く求められている。 スギ林からの花粉飛散対策として除伐，間伐，枝打ちなどの施業がおこなわれ，また，精英樹の中から花粉の少ないスギを選抜してそれを花粉飛散対策として用いることがおこなわれてきた。