きのこの化学雑記帳(5)-漢方薬としてのきのこ-

摘要

きのこの中には、漢方薬として使われるものも少なからずある。漢方薬は、約2000年前の中国の薬方が、奈良時代に日本に伝わり、その後我が国に伝わる民間薬なども取り入れ、独自の発展を遂げて現在に至つたもので、和漢薬とも呼ばれる。特に江戸時代に大きく発展し、有吉佐和子の小説『華岡清州の妻』でも有名な華岡清州は、グ通仙散〃という自ら開発した漢方薬を使って、世界で最初の麻酔手術を行った。漢方薬は、いわゆる西洋薬とは違って、薬草を中心とした自然の産物をそのまま利用しているので、昨今の"ェコ.ブ—ム"の中で、大いに注目され、見直されてきている。