牛における黄体形成および黄体機能の 刺激、増強による受胎促進

摘要

黄体はプロジェステロンを分泌し，妊娠の成立お よび維持に重要な役割を担っている。黄体形成不全 や黄体機能の不全によるプロジエステ口ン分泌の不 足は不妊に帰結する。交配後において，妊娠した牛 と妊娠しなかつた牛の血液中のプロジエステ口ン濃 度を調べると，妊娠した牛が妊娠しなかった牛より も高いことが報告されている。また，3回以上交配しても受胎しないリピートブ リ一ダ一の原因として，受精が正常に起こらない障 害と胚が早期に死滅する異常が挙げられ，リピート ブリーダーでは，前者の受精障害が29-40%と健常 牛の15：L7%よりも高率であり，その主な原因とし て，ストレスによる副腎からのプロジェステロン分 泌の亢進に基づく発情期におけるプロジェステロン 濃度の増加が示唆されているn)。また，後者の早期 胚死滅は健常牛では交配後35-45日までに14-33% であるが，リピートブリーダーでは35日までに29- 72%と高率であり1'3),その原因として内分泌や子 宮内環境の異常が挙げられているu)。