小河川におけるミクリ(Sparganium erectum)群落による 有機土壤、栄養塩堆積の機構および生長促進への影響

摘要

ミクリ(Sparganiumerectum)は多年生の抽水植物であり，河川や湖沼,池や放水路などの浅水域に群落を構成して生息している.戦後，わが国における社会基盤整備によつて急激に自然環境が改変さしたために，抽水植物群落の生息地が消失するとともに生息環境の悪化に伴って衰退していることを受けて，ミクリもその群落数が各地に部分的に点在するほどに減少してしまい,現在ではしッドデータブックにおいて準絶滅危惧種に指定さしる希少種である.また，対象とした元荒川は水源を埼玉県水産試験場の湧水に求め，水産試験場の閉鎖と共に，この河川の維持管理に関し，ムサシトミョという希少種の魚が生息していることもあって生物多様性の観点からも今後の動向が懸念さしている.