長野県における牛潰瘍性乳頭炎類似疾患の発生

摘要

搾乳牛で乳頭の潰瘍および痴皮形成を宣する7頭に遭遇した。 発症年はいずれも分娩後4～11日の初産年で，乳頭の変化は初期に小赤斑から小丘疹が出現し，1～2日で水痘を形成した。 水痘の認められる期間は非常に短く，容易に破砕され潰瘍化し黒色痴皮から壊痕へ進展した。 複数の乳頭に病変が派生する例もみられた。発症年は局所の痺痛のため搾乳困難で，全例で乳房炎を併発した。 薬剤の乳房注入が困難であるため，抗生剤の全身投与と対症療法を行ったが，5頭が廃用となった。病理組織学的検査を実施した1症例では，表皮の変性、壊死，真皮の化膿性炎症，血管病変等を認めた。 細菌検査では，2例の乳汁からStreptococcus sp．が分離された。 臨床経過は牛潰瘍性乳頭炎に酷似していたが，原因を特定できなかった。