牛の妊娠末期における 大腸菌ヮクチン投与が分娩後早期の 子宮内環境と卵巣動態に与える影響

摘要

炎症性子宮疾患のワクチンによる予防効果を探るため，大腸菌ワクチンが分娩後の子宮内環境と卵巣動態に与える影響を調べた。黒毛和種妊娠牛延べ37頭を，対照群（n=12),妊娠末期に大腸菌ワクチンを2回皮下注射したA群（n=14),さらに分娩後に鼻腔内塗布したB群（n=11)の3群に分けた。 子宮内膜スヮプからの有意菌分離率は分娩後15日においてA群.B群が対照群よりも低く （P<0.01). また多形核白血球割合 >18%を子宮内膜炎のカツトオフ値として適用した場合の内膜炎有病率は分娩 後30日においてA群が対照群よりも低値であった（P<0.05)。以上より，大腸菌ワクチンは，分娩後早 期の子宮内環境における大腸菌と他細菌の感染を抑制し，子宮内膜炎の有病率を減少させることが示 唆された。