家禽精子の機能多様性②家禽の種類別による精液性状の相違

摘要

これまでに述べた家禽のうち、特徴的な精子を生産するのは、ウズラ、はろほろ鳥と鳩である。 他の家禽については、ほぼ類似した形態を示しており、これまでに報告されたものと、大きな相違はない。 そこで、まず一般的な家禽精子についてみると、形態的特徴ほ頭部である。 すなわち、晴乳類精子の場合には、頭部はほぼ円形であるが、家禽の精子の頭部はわずかにカ、フした棒状である。 また、受精の際に重要であるアクロゾームは、哺乳類では頭部表面をほぼ全体にわたって覆っているが、家禽の場合には、棒状精子の先端にわずかに付着した状態で観察される。 さらに、頚部についてみると、哺乳類精子では、ミトコンドリア鞘がリング状で積み重なったような状態であるが、家禽では瓦状のものがややななめになって連続しているような形状を。 王している。 したがって、頚部の長さが哺乳類のものよりも遥かに長くなっている。 しかし、ミトコンドリアの数も哺乳類のものより遥かに少なく二〇～三〇個程度である。 このミトコンドリアは精子の運動の源となるエネルギーの発生源であり、したがって、家禽精子の運動性と密接に関連している。 さらに、この瓦状のミトコンドリアは数は少ないが形態は大きく、発生エネルギーは大きいものと推察されている。