ブドウ果皮色の“様変わり”による変異機構: アントシアニン合成の鍵となるMYB遺伝子の解析から見えてくるもの

摘要

ブドウは世界で最も広く生産されている果樹の一つであり，欧米ではワインや干しブドウなどの加工用の品種，日本では生食用の品種が主に育成，栽培されている．ブドウの果実は，品種によってその形，大きさ，香り，色などのバラエティに富hでおり，なかでも果皮色は品種を特徴づける重要な形質である．　ブドウの果皮色は，果皮組織の液胞に蓄積されるアントシアニン色素の含量と組成によって主に決定されている．アントシアニンは数種類の生合成酵素によって合成されており，その一つである　UDP－glucose：flavonoid3－O－glucosyltransferase（UFGT）がブドウのアントシアニン合成において最も重要である．さらに，こ好G7「をはじめとする酵素遺伝子の働きは，転写因子の一つであるMYBよって制御されている．着色（黒色、赤色）品種では，MYBの転写機能を有するVumybA1cがUFGTの発現を誘導することによってアントシアニンが合成される．