平成9年産温州ミカン販売の特徴と問題点

摘要

毎年、大晦日（一二月三一日）の夕刻に弊社約九〇店舗の青果担当者より、売上速報とともに商品動向の報告が上がってきますが、昨年の年末は例えようもない悲壮感を味わった。除夜の鐘が鳴り響くころ、自分が決めたミカンの販売戦略が正しかったのか、それとも間違いであったのか、今でも悩み続けている。 　 業界の関係者からは、「前年対比の八七％の着地なら大成功だ」と慰められながらも今一つ納得できない。 ミカンの大豊作は春先より予測はしていたし、世相も消費税のアップから始まり、医療費の実質値上げ、金融不安などによる先行き不安かぢ、消費者は生活完全防衛型の消費動向になり、我々量販店も売上的には苦戦を強いられることは、覚悟していたつもりであった。 しかし、心の片隅では平成八年産の夢のような〝ミカン″の売上金額が頭をチラつき、「産地も荷受会社も手を打ってあるはずだから、自分の予想を下回ることはない」と他力本願的思考が災いした。出足からミカンの販売戦略の修正判断を鈍らせ、後手に回ってしまったことが、最大の反省事項である。