あのころの暮らし、今の暮らし

摘要

東京の大田区に「昭和のくらし博物館」という私設博物館をオープンして、この三月でちょうビ三李白に入った。 昭和二五年に始まった住宅金融公庫の融資を受けて、亡父が設計し、翌二大卒に建った建坪鵬八坪の小さな住宅だが、戦後の庶民資料として家財もろとも残しておくことにしたのである。 ちりhちりhと鳴る玄関のガラス戸を開けて入ると、三豊ほどの板の間、ここはデスクを置いて父が書斎兼応接間としていた。 続いて四畳半の茶の間と一畳ほどの小さなムロ所、その奥が大量の座敷と、一階はこれっきり。 二階は四畳半二間で、一間は子供部屋、一間は下宿人部屋である。 最初は二間とも下宿人に貸していたから、下の六畳と四畳半に両親と四人姉妹の一家六人が暮らしていた。