北海道稲作地帯における作業受託型生産法人に関する1考察-南幌町生産法人「フローア」を事例として-

摘要

北海道の石狩川流域を中心とする水田地帯においては，1980年代後半から1990年代にかけて農家戸数が大きく減少している．そのため，離農跡地を集積することで個別経膏の規模拡大が進展してきた．ところが，1990年代後半以降は，米価下落による経営収支の悪化が大きな経営問題となってきた．とりわけ高位泥炭土壌という劣悪な土壌条件の中で水酎化が進展した南空知地域では，土地改良事業や基盤整備といった投資，農地取得による規模拡大の過程で生じた機械，施設への投資に伴う負債問題が，地価下落の下で大磯規模経営の持続的な経営展開の重荷となっている．こうした状況下で個別経営の投資行動は停滞しつつあり，農地流動化への影響が懸念されていることから，これらの事態へ向けた対応策が地域農業の課題となっている．