構築環境に起因する生業の事物連関と建築農山村地域における建築を介した林業6 次産業化の方法: 島根県飯南町を事例に　(1)

摘要

農山村地域では林業とともに農業や畜産など複数の生業が営まれてきた。こうした農林家の営みによって地域の中で生産に関わる事物連関が生まれ、山林、田畑、住居、道といった農山村特有の構築環境1) が形成されてきたが、生業が移り変わり地域外の事物が入り込むことにより、地域固有の事物連関にも綻びがみえはじめている。特に育成に年数がかかる林業にその傾向は顕著であり、林業6 次産業化に期待が寄せられているが、建築を介した方法は未だ確立されていない。そこで本編では中国山地に位置する島根県飯南町を事例に、国道54 号線沿いに広がる構築環境を山林と建築に関わる事物連関の変化とともに読み解くことを通して建築を介した林業6 次産業化を定義することを目的とする。