ネパール丘陵地における村落振興 - 森林保全計画の検討 -JICA プロジェクトの経験から-

摘要

この研究は熱帯から高山性寒帯まで有するネバールにおいて、丘陵 (中間山地) 地帯を対象として日本のODAにより実施されている森林保全プロジェクトで村落振興プログラムを組み合わせた新しいタイプの開発アプローチに対する検証を目的としている。 背景として近年政府の行政能力の弱体によつて私有地国有化政策が失敗し、林地の農地への転換や森林資源の収奪的利用により森林は急速に荒廃して行つた。そこで森林法の改正によつて森林の管理 - U営 - 利用点を森林利用 M合に認めることとなった。 そのために、社会造林また共有林 (CF) の育成を目指した植林に重点を置いた森林保全計画を策定し、プロジュクトを実施してきた。 しかしこの場合、住民参加を植林時には見るものの、森林形成の持続性については必ずしも参加型の効果を得ているわけではない。ネパールにおける可能共有林面積は356万ha でこのうち1/3の100万haがすでに住民に移譲されているものの、多くの部分が残されている。 そこでさらに住民管理による共有林の拡大を図る必要がある。参加型による共有林管理は森林土壌保全省によって運営されているが、多くは援助国の協力によつて支えられている。 この中で、土壌保全流域管理局は日本のJICA 援助によつて住民による森林保全と流域管理を目的としたプロジェクトを1994年に開始した。 プログラムは1994年から1999年までのフェイズIと1999年から2004年までのフェイズIIに分けられ、国内治安等の理由によつてフェイズIとフェイズIIでは異なる手法を取り入れた。 この違いによる評価は時期尚早ではあるが、現在までの活動につい研究することは有意義であると考える。