シロヘリクチブトゾウムNaupactus leucoloma（BOEMAN）の発育と増殖能力

摘要

シロヘリクチプトゾウムシNaupactus leucoloma（BOHEMAN）は，南米各地，アメリカ合衆国南部，オーストラリア，ニュージーランド，南アフリカ共和国などに分布している，南米原産のクチブトゾウムシ科に属するゾウムシ（BERRY，1947；BUCIIANAN，1947；EAST，1977；GOUGH＆BROWN，1991）で，従来Graphognathus属に分類されていたが，近年，Naupactus属に移された（LANTERI＆MARVALDI，1995）。 本種は，成虫が植物の地上部を，幼虫が地下部を食害するが，特に幼虫による牧草やジャガイモ，サツマイモ，落花生等に対する被害が大きい（GOUGH＆BROWN，1991；MATTHIESSEN＆LERRMONTH，1993；ZEHNDER，1997）。 幼虫，成虫ともに広食性であることに加え，単為生殖により雌だけで増殖するため，侵入した場合には定着するリスクが大きい種であると考えられる。 我が国においては，本種を輸入禁止対象病害虫に次いで重要度が高い特定重要病害虫に指定して，特にその侵入を警戒している（真崎，1982）。