ダイズの生産性向上のための伸育型制御に関する育種学的研究

摘要

ダイズの茎伸育型は、2つの遺伝子DtJ及 XlDt2によつて制御され、下部節の花芽分化 後まもなく頂部の生長が止まる有限伸育型 {dtlDt2及びdtldt2、、茎頂の伸長が継続する 無限伸育型(Dtldt2)、その中間の半無限伸育 型、DtlDt2、の3つに分類される。無限伸育型は、有限伸育型より主茎長が長 いことから、有限伸育型より倒伏しやすい傾 向にあること、また各々の節によって開花時 期が異なるため、一粒重及びその均一性に少 なからず影響を及ぼすことが懸念され、国内 の育種において敬遠される傾向にある。また、 半無限伸育型は国内の育種においてほとhど 利用されてこなかったため、日本の栽培品種 はほぼ全てが有限伸育型となっている。一方で、無限及び半無限伸育型では、開花 期以降に展開する上位の葉は徐々に小さくな り、草姿は円錐状を呈するため、下位葉まで 光の透過が良好になる傾向があり、群落全体 としての光合成の能力の向上に寄与する可能 性が考えられる。また、無限伸育型は開花期 以降も栄養成長が盛hなため、虫害による葉 の食害に対する補償作用が強いことが知られ ており、これまで利用されてこなかった無限 及び半無限伸育型の利用は国産ダイズの安定 生産に貢献する可能性を秘めている。