イネの穂における一次枝梗長を制御するQTLのファインマッピング

摘要

これまでの研究結果より、Gnl遺伝子が,刈 ら（2005)によって、WFP遺伝子が三浦ら (2010)によって単離同定され、このうちWFP は穂の一次枝梗数を特異的に増やすことが明 らかとなつている。さらに、池田ら（2010) によってイネの穂は穂軸に枝をつけることで 高次構造を形成し、その枝の長さや数などが 変化することにより、様々な穂を形成してい ることが明らかにされている。以上のような 知見結果から、単一の遺伝子が穂全体の形態 を決めているのではなく、穂の器官ごとに関 わる遺伝子が異なっていると考えられ、これ らの遺伝子を単離同定し、それらを組み合わ せることで多収性に寄与する穂型をデザィン することが可能になると考えられる。本研 究では穂の大きさや着粒密度を決める上で重 要な器官となる穂長に着目し、穂の長さを制 御しているQTLを検出した。さらに、穂長は 穂軸長と先端一次枝梗長の和で決定されてい る事から穂長を穂軸長と先端1次枝梗長に分 けてQTL解析を行つたところ、第5染色体上 に穂軸長に開するQTL(5)と第6染色体 上に一次枝梗長に関するQTL が単独形質として検出されたことから、穂長は穂軸 長に関わる遺伝子と先端一次枝梗長に関わる 遺伝子が独自に制御していることを明らカゝに した。今回は穂の先端の1次枝梗長の制御に 重要な因子と考えられるqPBL6について原因遺伝子の単離に向けたマツビング作業を進めた。