濃厚飼料の急激な増給や粗飼料品質変動が 乳牛の健康と繁殖に及ぼす影響

摘要

先進国における酪農産業は、過去数10年間、劇的な変化を遂げている。1頭当たり乳量は、 遺伝的改良、飼料給与および飼養管理技術の改 善により増加したが、一方で泌乳量増加に伴う 繁殖効率の低下が指摘されている1〕。このこと はわが国でも同様であり、経産牛1頭当たり乳量は1985年の6,983kgから2005年には9，179kgへ と約2，200kg増加した一方で、分娩間隔は402日 から434日に延長した（牛群検定成績、家畜改 良事業団)。一方、濃厚飼料lkgで生産した乳 量を示す「飼料効果」は、この20年の間、約 2.8でほとhど変化していない。このことは、現在の乳牛は20年前と比較すると年間約800kg 以上も多くの濃厚飼料を摂取していることにな り、今日の高泌乳が濃厚飼料に大きく依存して いることは明らかである。