濃厚飼料の急激な増給や粗飼料の 変質が乳牛の健康と繁殖に及ぼす影響特に，第一胃発酵を健全に維持することの重要性

摘要

過去20年間の経産牛1頭当たり乳量は，遺伝的改 良により1993年の7,864 kgから,2003年の8,678 kg, そして2013年には9.105 kgと増加ペースを落としな がらも順調に増加している（北海道酪農検定検査協 会）。一方，初回授精受胎率は,同56.8%, 51.0%, 42.4%と低下している（北海道家畜人工授精師協 会)。ところで，濃厚飼料1kgで生産した乳量を示 す「飼料効果」は，同2.77, 2.79, 2.67と，ほとhど 変化していなレゝ（北海道酪農検定検査協会)。このこ とは，現在の乳牛は20年前に比較して年間約500 kg 以上も多くの濃厚飼料を摂取していることを示して おり，今日の酪農(乳生産）が濃厚飼料に大きく依存 して乳量を増やした一方で，繁殖成績が悪化してい ることは明らかである。