アルコール依存症と遺伝子

摘要

アルコ⊥ルは依存性ドラッグである．もちろh現在の日本では合法であるが，依存性に関しては非合法ドラッグに匹敵する．したがって，アルコール依存症の発症が増え槙けているのは当然ともいえる．アルコール依存症の遺伝因子は強いが，疾病概念自体が曖昧なため，関連遺伝子の探究には多くの困難がある．これまで確実にわかっているのはアルデヒド脱水素酵素2型（ALDH2）だけで．この酵素の遺伝的欠損者はアルコール依存症になりにくい．したがって，逆にいうと，ALDH2欠損アルコール依存症患者は，アルコールに対する特別な嗜好性をもっていると考えられる．これに着目した相関研究により，脳内報酬系にかかわる遺伝子である，ドーパミンD4遺伝子，ドーパミントランスポーター遺伝子の変異と，ALDH2欠損アルコール依存症患者との開運が見いだされている．ただし，遺伝子から依存症発症のメカニズムの解明までには，なお遠い道のりがある．