ミツバチの 天空コンパスナビゲーシヨン:空を見て方向を知るしくみ

摘要

ナビゲーシヨンを実現する一つの方法として，常に自らの移動距離と移動方向をモニターし，目 標と自分の位置関係を把握しながら移動する「経路積算」があげられる。ミツバチは，移動距離 の情報をォブティックフローから，移動方向の情報を天空の偏光パターンから得ることで，経路 積算に基づくナビゲ一シヨンをおこなっている。動物は正しいナビゲーシヨンを おこなうためにさまざまなァルゴ リズムを使う。その一つとして「経 路積算」がある。経路積算は，動 物が常に自分とスタート地点との 位置関係，すなわち方向と距離の 情報をアップデートしていく能力であり，19世紀にDarwinによつ て提唱されて以来，今日に至るま で，昆虫からヒトまで多くの動物 種において研究が進められている, 経路積算はその名が示すように， 連続した細かい移動の軌跡を足し ていくことで実現されると考えら れている[図1(a)]。これにより， 動物は現在地がどこであろうとスタ一ト地点まで直線的なショート カツ卜で戻ることができる。