新天地で羽ばたくシロアリたち -外来シロアリ種の問題

摘要

熱帯～亜熱帯原産とされるシロアリは，建材や家具などさまざまな物資に付随して移動しす飛躍的に分布域を拡大した。その結果，現在は温帯～亜寒帯域にまでも広く分布し，侵入先で甚大な被害を及ぼす種も存在する。本稿では，国内外におけるシロアリの移動歴や日本における外来シロアリ種の生態について解説する。　シロアリは高度な社会性を有する昆虫として知られ，階級によって異なる役割を担いつつ，互いに協力して生活している。シロアリは，卵から貯化後，幼虫が脱皮を繰り返し，成虫（有遼虫、羽アリ）となる不完全変態を示す。コロニーは，生殖階級である女王、王を中心に，他の階級の養育や採餌を行う職蟻（種によっては擬職蟻☆）と，敵からコロニーを守る兵蟻とで構成されている（図1，図2）。また，体内外で微生物と共生することにより，木　材の主要成分である天然高分子群のセ　ルロースやリグニンを効率よく分解／　利用している。