環境省によるライチョウの 域内保全の取り組みと成果

摘要

ライチョウの分布，生息数，生態に関する野外調査は，信州大学教育学部の故羽田健三氏により1960年代から開始され，その後は同大学の中村浩志氏に引き継がれている。その60年間にわたる 調査により，この鳥の日本の高山での生活の実態と進化適応が解明されるとともに，現状と課題が 明らかにされてきた。環境省は，これらの基礎研究により明らかになった生息数の大幅な減少を受 け，「第一期ライチョウ保護増殖実施計画」を策定し，2015年から域内保全および域外保全の両面 からの取り組みを開始した。ここでは，これまでにおこなつてきた域内保全の取り組みと成果につ いて紹介することにしたい。