ロボッ卜、 ICT活用による生乳生産性向上の可能性と

摘要

酪農経営においては規模拡大と個体乳量の 増加が進み、経産牛1頭当たりあるいは生乳生産100kg当たり労働時間は減少している。しかし、経営全体あるいは1人当たり労働時間は減少していなく、朝夕2回の搾乳作業は毎日継続 し、後継者や新規就農者が魅力を感じるゆとり ある経営に到達しているとは言い難い。また、 濃厚飼料多給による個体乳量の増加は、牛体 に掛かる負担が大きく、乳房炎や産後の起立 不能、繁殖障害や蹄病を招きやすく、従事者 の精神的負担に加え、搾乳供用年数の短縮に よる償却費の増加など経済的な損失にもつな がる。このため、従事者には緻密な飼料設計、 乳牛の体調異常を早期に発見し、迅速な対処 を可能にする態勢が求められ、牛舎に日中常 駐せざるを得ない状況の経営も少なくない。