新日本石油の潤滑油技術の将来ビジョン

摘要

新日本石油では，エンジン油等の自動車用潤滑油に要求される困難な課題を解決するために，常に時代を先取りしながら技術開発を行ってきた。 12年前，まだ「グループⅢ」という言葉が存在する前に，新日本石油は世界ではじめて粘度指数120以上のグループⅢ基油の本格的な量産化に成功した。 新日本石油の保有する強力な水素化分解装置と触媒技術がこれを可能にしており，12年を経た現在でも世界有数のグループⅢ製造装置としての地位を譲っていをい。 20世紀の終わりから今世紀にかけて，ガソリンエンジン油のILSAC新規格GF-3が大きな話題になった。 この革新的なGF-3規格は，図1にあげた①省燃費性能，②ロングドレイン性能，さらに③排ガス触媒対応性能をすべて向上させるものであった。これを受けて，1990年中頃から今世紀にかけて北米の石油各社が既存の潤滑油製造装置を大幅に廃棄あるいは改良し，グループⅡ，Ⅱ＋を中心とした「水素化分解基油」製造へと大きく移行したのは記憶に新しい（図1）。 これには巨額の設備投資を必要としたが，新日本石油では10年前に開発済みのグループ」基油VHDCのおかげで，この「GF-3の荒波」をわけなく乗り切っている。