やる気がないと見なされがちな患者の動機づけを目指したMotivational Interviewing

摘要

生活習慣の改善に向けていろいろな方法をアド バイスすると，「ええ.でも」と積極的にではな いものの抵抗を示したり，アドバイスを素直に受 け取ったと思っていたら，次の診察では全く生活 習慣の改善が見られないどころか，いっさい改善 に向けた努力すら見られない患者を経験したこと はないだろうか.これらの患者は，行動変容への 準備性（レディネス）が低いとか，やる気がない， などと評価されがちである.これに对し，Motivational Interviewing (MI) は，患者に本当にやる気がないのか，それとも， やる気を出す，もしくは表現する機会が与えられ ていないだけなのか，という疑問を投げかける. Mlは，臨床心理学者であるMillerとRollnickに よって確立された臨床的対話法で，生活習慣の改 善のみならず，治療法の選択などに関する意思決 定など，患者自身の積極的な関与を促すことに役 立ち，患者の治療に関する満足度とともに治療成 績も向上することが示されてきている. Mlは， 米国では，医学部教育や医師の継続研修に取り入 れられ，日常の医療現場にも広がりつつある.