卜ロンボモジュリン細胞膜貫通領域変異 に伴う出血とその対策

摘要

播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として用いられている遺伝子組換え卜ロンボモジユリン製剤は， 未分画へパリンと比較して出血性副作用のリスクが低いことが報告されている.ただ，治療経過中に出血を認めた場合，それがDICによるものなのか，薬剤によるものなのかは判別困難であリ，遺伝子組換 え卜ロンボモジュリン製剤にどの程度の出血リスクがあるのか，十分に把握できていないのが現状であ る.近年，海外よリ興昧深い症例報告があった.本来，血管内皮細胞などの細胞表面に発現している内 因性卜ロンポモジュリンが，遺伝子変異に伴って細胞表面から血漿中へと遊離し，偶然にも遺伝子組換 え卜口ンボモジュリン製剤で治療中の患者と同程度の血漿卜口ンポモジュリン濃度になつている症例で ある.このような症例の出血リスクと対処法を解析することで，遺伝子組換え卜ロンボモジユリン製剤 の臨床に役立てられないかと考え，本稿を執筆する.