島下泰久の“ニッポンブランドの行方”第百五十回「ホンダフィット」「人が“心地いいと感じる”ためにハイテクを使いました」

摘要

初代フィットが誕生したのは2001年である。当時のコンパクトモデルがあきらめていたユーザーニーズに応え、これまで累計販売台数も269万台となる大ヒットモデルになった。そして新型は「心地いい」を新たな価値として開発したという。詳細を開発責任者に訊いた。ここ10年、ずっとフィットの開発にかかわってきた本田技研工業株式会社ものづくりセンター完成車開発統括部LPLシニアチーフェンジニアの田中健樹氏が、4代目フィットの開発を取りまとめるにあたって考えたのは、そもそもフィットはなぜヒットしたのかということだった。実際、それを検証するべく前身のロゴを含めた4世代を並べてみたのだという。「ロゴは機能的で良いクルマでしたが販売は奮いませhでした。では初代フィットが売れたのは、何のニーズに何のバリューで応えたのか。行き着いたのは、以前はお客様にあった『コンパクトカーだからしょうがない』という諦めに対して、主張あるデザイン、細部へのこだわり、驚きの空間などの価値で、しっかり応えたのではないかということでした」。