器官原基の再生からアプローチした器官再生技術の開発

摘要

再生医療は，疾患や傷害により損傷した組織や 器官の修復のために組織幹細胞を移入する「幹細 胞移入療法」から臨床応用化が進められてきた。 組織工学技術により細胞を二次元的なシ一ト状に 加工する技術を利用した皮膚細胞シートは，日本 で初めての再生医療製品として保険収載され，再 生医療の産業化に道を拓いた。一方，再生医療の 大きな目標は，疾患や傷害，エイジングにより機 能不全に陥った臓器や器官を，再生した臓器-器 官で置き換える「臓器置換再生医療」である。 臓器機能不全に対する治療方法は移植治療であり， 臓器提供希望者に対する臓器提供数は絶対的に不 足している。これまでの幹細胞による再生医療に よる技術開発や，組織工学技術の発展により，こ れらの技術が融合することによつて革新的な臓器 置換再生医療の換術につながることが期待されて いる。