能性幹細胞を用いてマウス 体内にラッ卜の膝臓を 形成させる

摘要

多能性幹細胞は無限の増殖能と全身のほぼ全て の細胞に分化できる多分化能を兼ね備えた細胞で，その代表的な存在である胚性幹細胞（ES細胞）が ヒト受精卵から樹立されて以来，それらを目的 の細胞に分化誘導し治療に用いるための研究が進 められてきた。特に近年，京都大学の山中伸弥教 授らによつて特定の遺伝子導入だけで終末分化し た体細胞からES細胞とほぼ同等の能力を持つ多 能性幹細胞（人工多能性幹細胞：iPS細胞）が樹立 できることが明らかとなり，免疫拒絶のない "自身の多能性幹細胞"を用いた治療への期待が一 層高まった。実際に糖尿病に対するインスリン産 生-脖beta細胞やパーキンソン病に対するドーパミ ン産生、神経細胞といった細胞をiPS細胞から作 り治療に用いる研究が世界中で進められている。