両側顔面神経麻痺を発症したサルコイドーシスの1例

摘要

両側性顔面神経麻痺は左右の麻痺発症のタイミングによつ て同時性、交代性、再発性に分類される。両側同時性麻痺の定義は左右の麻痺が2週間以内の間隔で発症するもので、一 側の麻痺が改善しないうちに他側の麻痺が発現するため、い わゆる無表情の仮面様顔貌を呈する。交代性麻痺は先行する 麻痺が治癒ないし回復した後に対側に麻痺が発症する。過去 の報告では両側性顔面神経麻痺の頻度は1.7~4. 6%とされ ており[1-3]、村上ら[3]は2381例の顔面神経麻痺症例の うち両側同時性麻痺は21例（0. 9%)であったと報告してい る。両側同時性麻痺はベル麻痺が多く、そのほかにGuillain-Barre症候群や外傷性麻痺などに多く認められる。