当院における顔面神経鞘腫27症例の検討

摘要

顔面神経鞘腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍である。頻度は報告により様々で、湯本らは末梢性顔面神経麻痺1,990例中9例(0.45%)、CawthorneらはBell麻痺と診断されていた800例中3例（0.38%) としており稀な疾患である。また、顔面神経のいずれの部位からでも発生しうるため症状が多様で時に診断が困難である。手術治療が基本となるが、全摘すると顔面神経麻痺がほぼ必発であるため、その取り扱いについては未だ統一見解がない。本稿では、過去5年間に名古屋市立大学耳鼻咽喉科で経験した顔面神経鞘腫27症例を示すとともに、腫瘍の部位、症状、術式、術後麻痺スコアの推移等を検討し、文献的考察を加えて報告する。