顔面痙攣の発生機序と根本的治療としての顔面神経減圧術

摘要

緒言:人類は言語を発しなくとも、顔の表情のみで喜び、悲しみ、美しいものを見た時の感動を伝えることが出来る。従って顔面筋の運動を司る顔面神経は我々の日常生活を楽しいものにし、かつ常に笑顔を保つのに欠かせない神経だといえる。しかし、この神経に異常興奮が起こると顔面筋の異常運動を惹起するようになり、いわゆる「顔面けいれh」と言われる症状を来す。これはその人の職業にも影響を与え、楽しかるべき日常生活が暗いものとなる。顔面けいれhの発生頻度は人口10万人当たり男性で0.74人、女性で0.81人と女性に多く、白人種よりオリエンタル人種に多い。しかしこの顔面けいれhも現代の進歩した手術方法により確実に、しかも合併症もほとhどなく治癒することが可能となり、この悩ましい疾患に苦しむ人々に福音を与えるようになった。顔面けいれhの症状?診断:顔面けいれhはほとhど例外なく一側の下眼瞼の不随意なけいれhから始まり、次第に強度を増しながら頰、下顎へと進展していく。顔面けいれhは、精神?心理的な影響を受けると増強する。顔面けいれhの発生初期は間欠性（tonic)のけいれhであるが、経過とともに強くなってくると持続性、強直性（clonic)となり、眼険がしばらく閉じたままになる。発生初期にはけいれhに同期して罹患側の耳鳴を訴えることがあるが、これはアブミ骨筋のけいれhのために発症する。鑑別診断としては眼險けいれh（Meige症候群）があり、これは両眼瞼に発症するが一方の眼を覆うと対側の眼が開く特徴がある。顔面神経麻痺後のAbnormal synkinesiaは眼険の開閉とともに口輪筋の異常運動、あるいはその逆の現象が見られる異常共同運動である。それ以外には顔面チックなとがある。