大学生を対象にした河川生態系の多様性を理解するための宿泊型自然体験学習の実践

摘要

河川は，地上に降った雨水が高い場所から低い場所に 向かって一方向に流れる流水環境と定義できる（Allan 1995；田代2013）．そして，河川を流れる水は，浸食· 運搬·堆積の3つの作用によって多様な地形を生み出す原動力となる（萱場2013；田代2014）．河川が人間生 活に大きく影響する日本では，小学校5年生の理科に設 定された「流水の働き」という内容で全員が河川と地形 との関係について詳しく学ぶことになる（馬場2006； 文部科学省2008；林·山下2009）．しかしながら，現 行の教育職員免許法の制度では，小学校教員を希望する 大学生は理科の教科内容，特に河川を扱う地学分野を学 ぶ機会に乏しいため（川勝2005；牧野2006；野崎2012a；下井倉ほか2014；森本2016），養成課程で河川環境を体験する授業を設けることは有益である．