アロマリサーチ誌にみる日本の香り~茶，みどりの香り，日本における香りの研究~

摘要

日本の香りには，日本固有の花や草木，食物の香りがある。この特集で他の執筆者によって取り上げられていない茶（Camellia sinensis）の香りについて，アロマリサーチ誌に掲載されたものを中心にまとめた。茶葉に含まれる青葉アルコールなどのみどりの香りは日本人により茶葉から見いだされ，その合成法の開発や生成機構の解明にも，日本人が大きく寄与した。茶自 身は中国原産である力s,日本に薬用として伝来されてからは，日本人は独自の茶道を確立し，茶は日常生活や文化に深く取り込まれている。また，茶やみどりの香りには様々な効能があり，実生活で利用されている。さらに，嗅覚系や香りの機能性の研究において，日本の研究者は多くの寄与をし，アロマリサーチ誌に紹介してきた。発刊から20年過ぎたこともあり，それ らを振り返って思いつくままにまとめた。最後に，香りの効果は嗅覚系を通したものと一般的に受け入れられている力く体内に取り込まれての効果やブラシーボ 効果の可能性もあり，私見を述べた。木材などの精油の抗菌作用も広く知られて利用されてきた力hこの小文では省いた。