0～400MHz正弦波の周波数や位相を高速制御！高速ダイレクト·ディジタル·シンセサイザAD9858（前編）AD9858の仕様と使い方

摘要

近年DDSの高速化と多機能化が進み，GHzで動作するDDSデバイスが出現してきました．10年前にアナログ·デバイセズ社からD-Aコンバータ内蔵の50MHzクロックのDDS IC AD7008が発売されて以来，DDSの機能の進化と，動作スピードの向上の速度には目を見張るものがあります．本稿で紹介する同社のAD9858は，動作クロック1GHzで，0～400MHzまでの周波数を直接生成できるDDS ICです．DDSは波形メモリからデータを読み出し，D-Aコンバータで再生する方式の信号源で，周波数や位相などを高速に設定したり切り替えることができます．また，一般にPLLに使われているVCO は雑音や振動に対して弱いのですが，DDSはそれらの影響が少ないのが特徴です．しかし，DDSで直接発生させる信号は，従来から使われているPLLタイプによる周波数シンセサイザに比べてスプリアスが多く，用途によっては使えないこともありました．そこで，DDSのスプリアスの発生メカニズムを解説したうえで，最新のデバイスで最も高速なDDSIC AD9858の特性を測定し，その性能を実際に確かめてみました．