横須賀無線史 第3回 真空管の開発,長波から短波への移行,そしてレーダ開発

摘要

日本は，マルコーニが1895年に実現した火花放電式無線電信機をほぼ独力で開発／改良し，わずか5年のうちに三六式無線電信機を誕生させ，日露戦争の最後の攻防戦である日本海海戦における海上通信を担いました．その7年後に電気試験所の鳥潟右一は，無線電信から無線電話の時代を切り拓きました．今回以降は，その後の横須賀を中心とする無線通信技術の進化に関して，現代までのお話をします．電気試験所の鳥潟右一技師が発見した鉱石検波器は，横須賀の海軍工廠造兵部で木村駿吉技師によって三六式無線電信機の受信部のコヒーラ検波器に置き換えられ，また送受信ともに同調回路を施して，1910 年（明治43年），通信距離を飛躍的に伸ばした四三式無線電信機が誕生しました．