ディジタル処理のためのアナログ回路設計：第4回 変換速度と分解能のバランスがとれたA-Dコンバータ－逐次比較型のしくみと性質

摘要

逐次比較(SAR: Successive Approximation Register)型A-Dコンバータは，速度，精度，価格の点で非常にバランスのとれたA-D変換方式で，多くのICメーカから市販されています．表4-1に，比較的高分解能·高速な逐次比較型A-Dコンバータの一例を示します．実際には8～12ビットの汎用タイプが人気のようです．また，変換原理上，同時サンプリング（複数入力を同じタイミングでサンプリングする）に向くことから，入力が多チャネルなものも増えています．逐次比較型A-Dコンバータの性能を100％出すには，入力部のサンプル＆ホールド·アンプが必要です．最近はA-DコンバータICに内蔵されていますが，かつては外付けで，設計に頭を悩ましたものでした．サンプル＆ホールド·アンプを内蔵したA-DコンバータをサンプリングA-Dコンバータと呼ぶ場合もあります．サンプル＆ホールド·アンプは逐次比較型だけに有効なわけではありませh．他のA-DコンバータでもS/Nの改善や同時サンプリングに応用できます．今回は，逐次比較型A-Dコンバータのしくみについて説明した後，サンプル＆ホールド·アンプの効果を実験を交えて紹介します．