(PS176) 鉄中のホウ素の拡散

摘要

ボロン（月）は，微量添加することで鉄鋼材料の焼き入れ性を向上ざせるが，添加量が多いと余剰Bが析出物を形成し焼き入れ性は低下するため，制御が難しい元素である．α鉄中におけるBの固溶限は最大でおよそ10massppmと非常に小さい．そのため制御に必要な固溶位置や拡散係数といったデータは信煩できるものがほとhどなく，再検討が望まれる．拡散係数については，BusbyとWells（1）が実験により高温域での拡散係数を求めているが，拡散係数の大きさは侵入型を示唆するが活性化エネルギーは置換型と同程度に大きい値となっており信頼性に疑問が残る．また，密度汎関数法を用いた計算によるアプローチもForsとWahllStromによりおこなわれているが，実験による再検討が必要である．本研究では，純鉄表面にFe-B合金を真空蒸着し，熱処理により侵入させ，二次イオン質量分析器（SIMS）による深さ方向分析をおこない，鉄中のBの拡散係数を測定することを目的とし，まず測定手法と試料作製法の確立を試みた．