(S381)炭素鋼の焼戻しにおけるBCT マルテンサイトからη相への遷移過程

摘要

マルテンサイト変態は鉄鋼の基本的な高強度化法であるが、マルテンサイトはそのままでは脆いため焼戻しにより延性·靭性を調整する。炭素鋼のマルテンサイトの焼戻しでは、準安定炭化物の析出を経てフェライトとセメンタイトへ分解するが、100-200 °C での焼き戻しではマルテンサイトからη相(Fe2C)が形成され、基地相が低炭素マルテンサイト相となる。このような材料はη相が微細に分散するため優れた機械的特性を有するが、セメンタイトよりも炭素量の多い?相が生成する過程は必ずしも明らかではない。そこで本研究では、炭素鋼のマルテンサイトからη相が生成する過程を、BCTマルテンサイトの熱力学的安定性及びBCT格子と?相との構造類似性から考察した。